不動産屋のぶっちゃげ話
若いうちから「家が欲しい」なんて贅沢だ
普段、家を売る立場の不動産屋がこんなこと言うと
「えっ!?」
と思われてしまうかもしれません。
「若いお客さんにもマイホーム購入を促していくのが仕事なんじゃないの?」
という声が聞こえてきそうです。
でもぶっちゃげた話、そう思います。
20代の若いサラリーマンからよくされる話で
両親から
「家賃なんていくら払っても自分のものにはならないんだから、なるべく早くマイホームを買ったほうがいい。そうすれば早く住宅ローンも終わって老後が楽になる。今なら少し援助もできるから」と、、、
でも私は一生に一度の買い物だからこそ慎重に考えるべきだと思います。
急いで買わなくてもいい理由はたくさんあります。
①20代では給料も安く、住宅ローンを払うだけの生活になってしまう恐れがあります。
②子供の人数の問題。その気が無くても子供が増える可能性はありますから、本当に必要な間取りの家が、早い段階で買えるでしょうか?
③人にもよりますが、主人が20代であれば、奥さんも同じ年代であることがほとんどでしょう。その奥さんが共働きをするかどうかで、家計も大きく変わります。
④20代ではどんな生き方をしたいのかまだ模索中の人も多いです。思い切って転職する際にマイホームは大きな足かせとなります。
⑤住まいについての知識や経験が少なく、どういう家が住みやすいのか、どういったところがメンテナンス、維持費がかかるのか、よくわかっておらず、ハウスメーカーに言われるがままにたくさんのオプションの付いたマイホームを買ってしまう方がいます。
他にも挙げればキリがありませんが、親御さんが言うことも間違っているわけではありません。親御さんの経験から住宅ローンは早く終わらせたほうがいい、という意見もよくわかります。
僕の中で特に心配なのは①と④についてです。
①の20代の頃は給料が安く、働く業界によってボーナスが出ない場合もあり、大きく計画が狂い、車もローン、家族旅行もカードローンとなっていきローン地獄にはまっていきます。
競売にかけられている住宅をネットで検索してみるとたまに築10年にも満たない物件が出ている時があります。様々な事情があるのでしょうが、こうならないためによく住宅ローンについてよく考えてみるべきです。
④については20代の時は、新たな挑戦をしてみたくなることもあるかもしれませんし、今やグローバル化で海外移住したくなることもあるかもしれません。
転勤で単身赴任などをする場合も、稼げる仕事、やりがいのある仕事なのであればいいのかもしれませんが、そんなに給料がいいわけでもなく、本当に好きな仕事でもないのに、住宅ローンのために家族と離れて仕事をしなければいけないという状況に、
「これでいいのか?」
と考える時もあるかもしれません。
そういった時に住宅ローンがあると人は守りに入りやすく、行動に移せないまま会社のいいなりになってしまうという方もいます。
欧米の場合は「ノンリコースローン」といって、万が一返済できなくなった場合、担保になっているマイホームを手放せば残りのローンは完済したことになります。
しかし日本の住宅ローンは「リコースローン」といってマイホームを手放してもローン残高があれば完済するまで払わなければいけないというルールになっています。
住宅ローンとは過酷なものなのです。
だからこそ不動産屋である私からアドバイスをすると、しっかりと計画を立て、余裕資金も作ってからマイホームを購入して、幸せに暮らして欲しいと願います。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございました。